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「自分に何が残せるのか」
私にとってのそれは、お墓や碑を立てることに似ていると思う。

たとえば、大きなピラミッド。
それは偉大な王様の権力で残すお墓。
大勢の民草はその元で一つ一つ石を削り出し、
命令の元に、とにかく数を積み重ねてできる巨大なお墓。
積み重なる無数のブロックの一つ一つは均一に揃えられ、
誰がどの石を削ったかなんてもうわかりはしない。
直接作業した大勢の下っ端たちの名前なんて残りはしないけれど、
その完成品は多くの人の目に触れ、知れ渡り、
たとえ後世で誰一人、一作業員であったその誰かのことを知る人がいなくとも、
そのお墓は沢山の人の心に何かを残すことができるであろう。
その建設メンバーの一人で在れたことに誇りを持てるのなら、
そこに居た知られない誰かの人生はそれで満足なのかもしれない。

あるいは、
たとえば、道端の不格好な小さな石碑。
道から少し外れたところにぽつんと立っていて、
雨風にさらされて、草木に埋もれて、いつ風化してもおかしくないような、
小さくてイビツな、だけど他に同じものなんて他にない、そんな一塊の石。
その道を通る人でさえ気にも留めないかもしれないような碑だけれど、
その碑には巨大なピラミッドにはない、残したいものがあった。
その碑を建てた誰かは、偉い身分でもなんでもないのだけれど、
それを誰にも知られないまま、声も上げずに終わってしまうのが、
とてつもなく、嫌だったんだ。

出来得ることならば、
私は両方で在りたいのだけれど、
監視役にムチで背中を叩かれてもなお、
ピラミッドの1ブロックも満足に削り出せない今の私には、
それをやりながら自分の碑を彫る余裕はとうてい無いのである。

今の私には―。
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