後ろで雑談していたチーフと目が合って、
「(ががめ)くんは最近体調どう？」って訊かれた。
なんだよそれ。
僕はチーフのそういうところが苦手である。
いつもは怒ってばかりのくせに、
なんて顔をするんだよ。

未だに線のコントロールができなくて、全然タイムが縮まらなくて、
去年は肩を並べていた同僚はどんどん先へ進んでいって、
仕事の上がりもみんな自分より速くて、綺麗で、
内容もだんだん難しくなってきて、
全然枚数が伸びなくて、むしろどんどん遅くなって、
怒られる度に消え去りたくて、
期待に応えられないのが悔しくて、
優しくされる度に泣きそうになって、

チーフがそれとなく僕の右足を見たのがわかった。
「････ぼちぼち」と僕は答えた。
また、退職の相談が言い出し難くなってしまった。

落ち込むだけ落ち込んだので、腫れていた右足はすっかり元のサイズに戻り、
一度風船のようにパンパンに伸びきった皮がシワシワになって、
足の甲の皮が、まるでトマトの湯剥きをするように、
まるでビニールかなにかのように、べりぃーっと剥がれた。
写メ撮っておけばよかった。

つまり、そう、ががめの"脱皮"である。

昨日も締め切りをオーバーしてしまって、
怒られて、落ち込みながら、
仕事に入る度に、何をどうしたらそんなふうに出来るのか、
自信を失い続けて、逃げ出したくて
擦り切れてしまいそうな毎日だけど、

つまり、一皮剥けたのである。
剥けたばかりの新しい皮は柔らかくて弱いけれど、
きっとこれから前よりも強くなれる。

とにかく、元気がなければなんにも出来ない。
元気だそう。